突然ですが、私が今までで一番難しいと思った音楽は、80年代にトランペット奏者のウィントン・マルサリスがやっていた音楽です。あまりの難しさにトラウマと言っても良いくらい苦しんだ記憶があります^^; いくつもの実験的なアイデアを使っていますが、その中の一つが今回のタイトルの 5泊フレーズです。 ○拍フレーズと言うと、普通は3拍フレーズですが、簡単にいうと4拍子の曲の途中で3拍子のフレーズを演奏します。そうすると拍がズレて行きますが、そのズレを利用して音楽的なテンションを作ります。3拍フレーズはごく最近のロックやポップスの曲でも使われている定番のアイデアです。3拍フレーズの3拍子を5拍子に変えたものが今回の5拍フレーズです。 3拍フレーズのことを人によっては1.5拍フレーズと呼びます。上の譜例では、スネアを2.5拍で入れることによって5拍を作っています。ライドシンバルのパターン、ハイハットを踏む位置は4拍子のパターンのままなので、5拍子というよりは、2小節、10拍でパターンが一回りしています。
次の譜面はウィントン・マルサリスのライブレコーディング、Live At Blues Alley に収録された名曲、Delfeayo’s Dilemma のトランペットソロの1コーラス目のドラムのコンピングです。因みにドラマーは Jeff “Tain” Watts です。 譜面で赤くかっこをつけた部分で、上の5拍フレーズをそのまま使っています。
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久しぶりにグルーブのパターンです。毎週1パターンくらい、かっこいいグルーブを紹介して行きたいと思いながら、かなりのご無沙汰です。今回はジャズのサックス奏者 Gary Bartz の新譜 Night Dreamer Direct-To-Disc Sessions から1曲目の Harlem to Haarlem のパターンです。
Spotify や Apple Music はとても便利で、最早以前の環境には戻れないと感じています。しかし、一点だけ昔の方が良かったと思うのが、ライナーノーツと表裏のジャケットです。特にジャズの場合は、例えばブルーノートレコードの様に、プレイヤーの名前が裏ジャケットに表記されていることが多いです。さらに、より詳細な情報もライナーノーツで読めるので、自然と新しいサイドマンの名前を覚えることができました。今は外部サイト等へ自分で情報を探しに行かないといけないので、やっぱり面倒ですね。 その代わり、一切の先入観を持たずに音楽を聴けるようになった気はします。今回もGary Bartz and Maisha の Maisha って初めて聞く名前でしたが、イギリスのジャズバンドだそうです。ドラマーの名前も全く知らなかったけど、めちゃくちゃかっこいいですよね。 Jimmy Cobb といえば Kind of Blue が有名ですが、それ以外にも名演はたくさんあります。僕がすごく好きでよく聴いた一枚に、サックス奏者の Joe Henderson のライブアルバム、Four と Straight No Chaser があります。ってApple MusicやSpotifyでは配信されていないから、おかしいなと思ってよく探したら Wynton Kelly & Joe Henderson でありました。 このアルバムは68年のレコーディングで、ジョー・ヘンダーソンは明らかに、コルトレーン以降の前衛的なスタイルです。それに対して、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、ジミー・コブのトリオはどこまでもゴキゲンにスイングしていて、これこそバップと言える最高の演奏。ちょっとアンバランスな感じもしますが、まさにジャズ史上最強のリズムセクションと言えるの息の合い方で、今までにもっともよく聴いた、とても好きなレコーディングの一つです。 Four のイントロのドラムソロの譜面をアップします。Jimmy Cobb といえばツンツンひたすら前に突っ込んで行くイカれたフィールが最高にクレイジーでイカしていますが、ソロも本当にかっこいいですね。
昨日インスタの Cristian Mcbride の投稿で Jimmy Cobb がこの世を去ったことを知りました。時期的にコロナウイルスとの関連も気になりますが、詳細はまだわかりません。ただ、29年1月生まれの91歳だったので、天寿を全うされたのではないかと思います。 私がジャズに物心ついた時には Philly Joe Jones は既に亡くなっていました。マイルスのバンドでフィリーの後任を務めたジミーコブは、私にとってまさに生きる伝説でした。スタイル的にも、そのまま真似して使えるアイデアが多く、すごく参考にして多大な影響を受けました。心よりご冥福をお祈り致します。 シリーズでアップしている、Lewis Nash のドラムソロの3回目。曲はTommy Flanagan のアルバム、 Sunset and the Mockingbird から1曲目の BIrdsong です。 今日の3コーラス目は8小節のトレードになっています。 ここまでルイス・ナッシュのソロを見てきて思うのは、実はそれほど複雑で難しいことをやっているわけではないということです。今回の1つ目のソロの基本のアイデアは、おそらく3連符のシングルストロークに右手のアクセントでフロアタムを加えただけです。アイデアとしてはシンプルですが、とにかく早くて音の粒がきれいに整っていて正確。聴く人には圧巻です。とくに生でみたら度肝を抜かれるくらいの迫力があります。
ルイス・ナッシュのテクニック的な特徴の一つに、超高速で正確無比なスティックコントロールがあります。これは継続した丁寧な基礎練習の賜物でしょう。ワールドクラスで超一流の活躍をしているルイス・ナッシュの演奏を支えているものは、実はごくごく当たり前の事のような気がします。 |
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9月 2024
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